こんにちは!起業家をビジョン実現に導くビジョナリーコンサルタントの廣田祥司です!
何かを目指すとき、あなたはまず何をしますか?
何かを目指してそこにたどり着きたいなら、何をおいてもまずは「目標」を設定する必要があります。
なぜなら、目標の設定は目指すべきゴールへ近づくための道筋を示すものであり、自分自身がそのゴールに向かって現在どの位置にいるのかというベンチマークの役割を果たすものとなるからです。
そこで今回は、「目標達成」をテーマに、「大谷翔平の目標達成シートに学ぶ目標設定5つのポイント」について解説していきます。
同時に、メジャーリーガー大谷翔平選手が実行している「マンダラート」(マンダラチャートとも呼ばれます)という「目標達成シート」を使って、設定した目標を具体的な行動に落とし込むためのマトリクスづくりについて5つのポイントをご紹介します。
目次
1.目標とはビジョン – 本来あるべき姿 –
1-1.目標とは何か?その意味を知る
目標設定のポイントを紹介する前に、そもそも目標とはどんな意味を持つのか、ちょっと考えてみたいと思います。
目標とは、ビジョン(本来あるべき姿)です。
自分が目指すもの(本来あるべき姿)に行き着くように、またそこから外れないように目印とするものが目標です。
多くの人は、「人生に成功したい」「人生で叶えたい夢がある」というように、成功とか夢の実現に対して貪欲な意思を示して、それを目標にします。
しかし、実際に成功する人、夢を実現する人は、ほんのごく少数の人たちしかいないという現実もあります。
さまざまな「成功ノウハウ」や「自己啓発メソッド」がこれだけ世の中に氾濫しているにも関わらず、本当の成功者がなぜこれほど少ないのでしょう?
夢や成功を抱く人の多くは、それを「抱く」だけで終わり、現実にするための「目標」にすることなく未来をつくる「行動」を起こしていないからです。
行動を起こすことは、自分の未来を自らがつくるというライフ・プランを明確にすることに他なりません。
はじめは漠然とした夢や成功への憧れであっても、その夢や成功が自分の人生にどのような意味を持つのかを考えれば、具体的な目標に変わっていくものです。
このようなことを考えるとき、いつもイチロー選手の言葉を思い出します。
夢は近づくと目標に変わる。
(イチロー)
「リアルに描いた夢は実現する」と、多くの先人たちが教えています。たぶんそれは、正しい。しかし、多くの人はここで勘違いします。「ただ夢を心に描いて願えば良い」と。
「リアルに夢を描くこと」とは、自分の人生のビジョンを明確にすることなのです。
そしてこの人生のビジョンが「人生の目標」となるとき、人は、どのような困難にも負けない不屈の精神を獲得します。
1-2.ネルソン・マンデラの事例
みなさんはネルソン・マンデラという人物をご存じでしょうか?
南アフリカ共和国第8代大統領で、悪名高かった南アフリカの「アパルトヘイト(人種隔離政策)」の完全撤廃に尽力をつくしたことで、ノーベル平和賞を受賞した人物です。
実は、マンデラという人物は、20代の時に「国家反逆罪」で逮捕され、それから27年間獄中にいました。
獄中から、手紙や書簡などで、アパルトヘイトを撤廃し南アフリカを「人種を問わず等しくチャンスのある国にする」という「夢」を語り続けました。
そしてその「夢」が人生を賭けたビジョンとなり、獄中にいながら、「反アパルトヘイト運動」の指導者として、具体的な行動プランを発信していくことになります。
そして、南アフリカ共和国第7代大統領フレデリック・デクラークがマンデラと会談。
デクラーク大統領は、マンデラの「南アフリカ共和国を人種問わず等しくチャンスのある国にする」というビジョンに共感し、大統領特赦でマンデラを釈放します。
二人は、協力してアパルトヘイトの撤廃を実現することになりました。(ノーベル平和賞はこの二人に贈られています)
その後マンデラは、デクラークに推される形で第8代大統領に就任することになるのですが、そこに至るまでの人生の軌跡は、「夢を目標に変えて現実を変えた」軌跡そのものでした。
20代の頃のマンデラにとってアパルトヘイトの撤廃は「夢」でした。
獄中でその「夢」を語り続けているうちに、いつしか「人生のビジョン」になっていきました。
そしてその「ビジョン」が具体的な「目標」になり、そこから南アフリカ国内・国外問わず、彼の「目標」が指針となって、「反アパルトヘイト」活動が活発に沸き起こったのです。
ネルソン・マンデラは様々な言葉を残していますが、その中でも次の言葉は、「成功」と「目標」を考える上で、とても示唆に富んだものになっているのではないでしょうか?
「成功するために大切なのは、どこから始めるのではなく、どれだけ高く目標を定めるかである」
(ネルソン・マンデラ)
さて、最初の命題に戻りましょう。目標とはそもそもどんな意味を持つものか?
目標とは、人生のビジョンを実現するための「道しるべ」です。
高い目標を設定すればするほど、人生のビジョンは世の中をも動かすものになっていく――これが私の考えです。
2.目標設定5つのポイント
さて、では具体的な「目標設定」の方法について解説していきます。
「目標達成」ではなく、「目標設定」です。
なぜ「設定」が重要なのかというと、適切な「目標設定」ができれば、「目標達成」は実現したも同然だからです。
この最高のケーススタディとして、メジャーリーガー大谷翔平選手が15才(高校一年生)のときに作った「マンダラート」という「目標達成シート」があります。
この大谷選手の「目標達成シート」を見ながら解説していきます。
まず、大谷翔平選手が高校一年生のときにつくったマンダラートがこちらです。
このマンダラート(目標達成シート)から、5つのポイントを抽出してみます。
(出所:スポーツニッポン)
2-1.具体的で明確な目標を設定する
「夢」を実現するためには、具体的で明確な目標が必要です。
大谷選手の場合、シートの中央に配置してある「ドラ1 8球団」が「大目標」になります。
3年後のドラフトで8球団から1位指名されることを目標に描いたのです。
実際には、高校3年間の経験で、さらに上のステージで野球をやりたいという思いが強まり、高卒でメジャーに渡る決心をし、日本球界の各球団はその意思の固さから指名を見送ることになりました。
その結果、唯一強行指名に踏み切った日本ハムファイターズだけの指名になりましたが、もしメジャー志望を表明しなければ、確実に8球団以上のチームが1位指名したのではないかと思います。
いずれにしても、大谷選手の「ドラ1 8球団」という目標は、極めて具体的で明確な目標になっています。
この目標を設定することで、「具体的に何を達成すればこの大目標が実現するのか」という「中目標」が生まれてくるのです。
大谷選手はこれを、「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」の8項目に求めました。
ここで注目していただきたいのが、「中目標」も一つひとつが「具体的で明確な目標」になっているところです。
2-2.効果測定できる目標を設定する
目標は具体的であればあるほど実現の可能性が高まります。
多くの人が誤解しているのが、目標と夢を混同し、「お金持ちになりたい」「大きな家に住みたい」「海外で活躍する人になりたい」という具合に、漠然とした「空想」を抱いてしまうところです。
大谷選手のつくったシートを見ると、多くの人の「漠然とした空想」と「具体的で明確な目標」の違いがよくわかるのではないでしょうか。
例えば、「スピード160km」という目標に対し、「軸でまわる」という身体の使い方、「下枝の強化」「可動域」という具体的な強化ポイントの設定、「ライナーキャッチボール」という具体的な練習方法など、すべての項目(小目標)が具体性のあるものになっています。
しかも、そのいずれもが、「効果を測定できる目標」でもあります。昨日の結果と今日の結果を数値的に比較できる目標になっていることに注目してください。
具体的な目標とは、効果を測定できる目標を意味します。
「お金持ちになりたい」のではなく、「5年後に1億円の収入を得る」であり、「大きな家に住みたい」ではなく、「5年後に100坪の土地の家に住む」――なのです。
数値として測定できる目標を設定することで、「ではいま何が足りないのか?」「いまやるべきことはなにか?」が見えてきます。
言い方を変えると、測定可能な目標設定とは、「昨日の自分と今日の自分を客観的に比較できる目標」という意味にもなります。
2-3.達成可能な高い目標を設定する
メンタルブロックを解除して高い目標を掲げましょう。
「高い目標を立てればそれで成功する」――極端にいえば、このように考える人も少なくはありません。大谷選手の目標達成シートから、わかりやすく説明してみます。
まず、シートの中央に記述された「ドラ1 8球団」が「大目標」です。この「大目標」を実現可能な状態の自分にするために必要なこと(やるべきこと)が、周囲に配列された8つの項目で、これが「中目標」になります。
普通の人は、このくらいで「目標設定完了」としてしまいますが、大谷選手は自分で設定した「中目標」を実現するための「小目標」まで具体的に設定しています。それが、センターの項目を取り囲む8個の項目になります。
例えば、「コントロール」という「中目標」を実現するための「小目標」として、「インステップ改善」「体幹強化」「軸をぶらさない」「リリースポイントの安定」「下枝の強化」「体を開かない」といった、技術的・体力的ポイントを細かく設定し、同時に、「不安をなくす」「メンタルコントロールをする」と、精神的な部分の強化も盛り込んでいます。
この8項目が、「コントロール」という「中目標」を達成するための「小目標」になるわけです。そしてこの8項目の「小目標」は、日々のトレーニングで「達成可能な目標」となっていることに注目してください。
「大目標」は、「中目標」の実現により達成され、「中目標」は、日々の「小目標」の実行によって達成されるのです。
2-4.目的を意識した目標を設定する
人は、「大目標」を決めた瞬間に近視眼的になってしまいがちです。
例えば、「5年後に年収1億円を実現する」という「大目標」を設定したとします。
このときに多くの人は、年収1億円を実現するための経済的・キャリア的な中目標だけを考えがちになります。
もちろん、間違ってはいません。
しかし、忘れがちになるのが、「なぜなんのためにこの大目標を実現したいのか?」という、自分自身への問いかけです。
この記事のはじめに、「目標とはビジョン(本来あるべき姿)」と定義づけました。
目標は、ビジョン(本来あるべき姿)であり、目的であるミッション(使命・存在意義)を果たすべきマイルストーン(道しるべ)となるものです。また、それを遂行するうえでの価値観・行動指針がバリューです。
したがって人生のビジョンとは、人生を豊かで幸福なものにするためのものであるべきです。
そのためには、「なぜなんのために」という目的(ミッション)を、常に自分自身に問いかける必要があります。
そのうえで、自分が目指す人生のビジョンに到達するためには、「自分はどのような人間であればよいのか?」というところにまで落とし込むのがよいでしょう。
そうでなければ、例えば、かつての私が、「金銭的豊かさ」だけを求めた結果、「金銭的豊かさは実現したが心の底から幸福な気持ちを抱くことができなくなった」のと同じ状態になっていきます。
成功とは、人生を豊かにするために求めるものであり、「大目標」とはその実現を成し遂げるものであるべきだと思います。
(成功や豊かさについて詳しく知りたい方は、「成功とは何か? 豊かさとは何か? その意味を考える」をご覧ください。)
大谷選手の「目標達成シート」をよくご覧ください。
「中目標」として、野球の技術的なことばかりでなく、人間性を磨く内面的なものも含めていることに気が付くはずです。
「ドラ1 8球団」という「大目標」にとって、一見関係のない要素に見えますが、大谷選手は、「多くの人から必要とされる野球選手になる」ことで「ドラ1 8球団」という大目標が設定されているわけです。
つまり、野球だけ上手であればよい、という考え方ではなく、人格を磨き、他人から必要とされる人間性を持つことで、さらに野球選手としての価値を高める――このような意思がこのシートを眺めているとわかってきます。
だからこそ、メジャーに行っても、多くの人から好かれ、応援される存在になっているのです。
2-5.すべての目標に期限を設定する
これは、「大目標」「中目標」「小目標」の全てで必要です。
人間は「締め切り」がないと、いつまでも先延ばしにし、考えるだけで行動に移しません。これはどのような人でも同じです。
だからこそ、自ら目標に対して締め切りを設けるべきです。
タイムリミットがあることで、人は集中力が生まれ、最大の能力を発揮することができるようになるものです。
さて、大谷選手の場合は、非常に明確な「締め切り」が設定されています。高校一年生のときに、「3年後のドラフト会議」というタイムリミットを想定しているのです。
そのために、「中目標」は、「高校3年間で達成すべき目標」になり、そこから落とし込まれた「小目標」は、毎日の練習到達目標になりました。
人生は有限です。目標という人生のビジョンは、人生が続く間に実現すべき目標です。
あなたの目標はいつまでに達成させるべきものですか?
まとめ
文豪ゲーテは、このようなことを言っています。
いつかは目標に通じる歩みを、一歩一歩と進んでいくのでは足りない。その一歩一歩が目標なのだし、一歩そのものが価値あるものでなければならない。(ゲーテ)
目標とは、自分自身の人生を豊かに幸福に彩るための行動そのものです。
その行動は、人生のビジョンから生まれるもので、それは、個人の人生観や哲学を反映したものになっていくわけです。
だからこそ、それは価値あるものでなければなりません。
大谷翔平選手の目標達成シートは、どのような目標設定でも活用できます。
あなたの価値ある人生のビジョンを目標に置き変え、あなたの夢を「正しい」目標設定でつかみ取りましょう!
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